麻疹(はしか)とは
ウイルスによる感染症で、強い感染力があり、ワクチンをしていない乳幼児を襲い、今でも日本では年間50人の幼い命を奪うこわい病気です。
好発時期:春(3~6月)
潜伏期:8~12日
他人への感染力のある期間 | 発疹の5日前から発疹出現4日目まで(咳などの飛沫で感染する) |
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保育所・学校(出席停止期間) | 解熱した後3日を経過するまで |
症状
- はじめの2~3日は熱、咳、鼻みず、目やになど、かぜと同じ症状で、まだこの頃は「はしか」と診断するのはむつかしい時期です。
- いったん熱が下がり、再び高熱が出ると同時に、全身に発疹が現れます。
- 発疹が現れてからも、さらに4~5日高熱が続きます。
治療
麻疹ウイルスに対する特効薬というのはありませんが、麻疹の症状をやわらげるような薬を使います。
初回受診後も、肺炎や脳炎、その他の合併症を起こしていないかを確かめるために、医師の指示に従って、経過の途中で診察を受けましょう。
家庭での看護
高い熱 | 熱が続く時は熱さましや氷枕を使って快適に過ごせるようにしましょう。 |
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強い咳 | 咳止めを処方しますが、それでも強い咳が続きます。 |
食べ物 | 食べれなくて当たり前と考え、消化がよく、口当たりの良いものを与えましょう。むしろ水分を充分に補うことが大切です。 |
解熱剤 | 使わないですむに越したことはないですが、「水分がとれない」、「きつくてずっと眠れない」ようなら、解熱剤を使ってもかまいません。続けて使う場合は間隔を6時間以上をあけましょう。 |
入浴 | 咳も少なくなって熱がなければ、汗をサッと流す程度から入浴してもよいでしょう。 |
合併症
中耳炎 | 10~15% |
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肺炎 | 数% |
脳炎 | 1000~2000人に1人 |
亜急性硬化性全脳炎 | 麻しん(はしか)が一旦治った後、約5~10年後に発症して脳を冒す病気で、麻疹ウイルスの脳内持続感染が原因と考えられています。現在、日本では全年齢人口の100万人に1人、15歳未満人口の100万人に数人が1年間に新たに発症しています。1985年頃までは年間10人以上の発症でしたが、麻しんワクチンの普及(まだ充分とはいえませんが)により最近は年間数人です。麻しんワクチン接種率の更なる向上が望まれます。(難病情報センター http://www.nanbyou.or.jp/ から引用) |
死亡 | 麻疹感染で全国で年間に数10人(麻疹約1万人に1人が死亡) |
予防
麻しん・風しん混合ワクチン、麻しんワクチン
ワクチン(麻しん・風しん混合ワクチン、麻しんワクチン)を受けましょう。
地域の麻疹ワクチンの接種率が95%以上になれば、流行を止めることができるといわれています。麻疹ワクチンは子どもの命を守り、その周りの友達の命を守ることにもなります。
お友達の予防
万が一、麻疹(はしか)にかかってしまった時は、お友達の予防にも気配りを!
麻疹ワクチンを受けていないお友達(麻疹にかかったことのある人は除く)には麻疹をうつしてしまった可能性があります。
感染力のある期間(上記)に接触があった時点から72時間以内に麻疹ワクチンを受けさせれば、麻疹の発病を防ぐ(または軽症化する)ことができる場合があります。医師に相談するように、お友達に早めに知らせてあげましょう。