まず落ち着きましょう!子どもの熱性けいれんは決してこわいものではありません。
熱性けいれんは約10人に1人の子どもが経験します。多くは6カ月から5歳頃までの子どもで、38度以上の熱がある時(特に急に熱が上がる時)に起こる5分未満の短いけいれんです。また家族の中に熱性けいれんの人がいる場合がよくあります。熱性けいれんを起こす人の7割では、けいれんはその1回きりです。また残りの3割の人も2回以上のけいれんを起こしますが、5~6歳頃までに起こさなくなり、たとえこのような発作をくり返したとしても、脳に悪い影響を残すことはありません。
熱性けいれんの症状は?
突然、意識をうしない、目が一点をみつめたり、白目をむいたり、歯を食いしばって息を止めて、一時的に口びるが紫に、顔色が真っ青になったりします。手足や体をつっぱって、ぴくぴく、がくんがくんと震わせたりもします。ときには目やまぶたのぴくつきだけのこともあります。これらの動作は5分未満でおさまって意識がもどるか、そのまま眠ってしまいます。
熱性けいれんをおこした時はどうすればよいでしょう?
- 周りに危険なものがない平ら場所に静かに寝かせて、呼吸が楽にできるように、衣服の胸元をゆるめてください。(口の中に指や物を入れないで下さい。強く舌をかむことはなく、吐く原因になったり、呼吸がしにくくなったりします。)
- 吐きそうなら、顔を体ごと横に向け、吐いたものが「のど」につまらないようにして下さい。
- その後、けいれんが始まった時刻を確認します。
- けいれんの様子を確認します。(片方の手、足、眼だけがけいれんしていないか?・・・など)
- けいれんがおさまったら、けいれんが何分間続いたかを確認し、体温を測りましょう。
- はじめて熱性けいれんをおこした時は短時間でおさまったとしても、すぐ受診しましょう。
- 2回目以降の熱性けいれんで短時間におさまった時は通常の診療時間の受診で大丈夫です。
ただし、このような場合は、すぐに受診してください!
- けいれんが5分以上続く時・・・救急車を呼んで受診しましょう。
- けいれんが起こる前から意識がおかしい時や、けいれんが止まってからも意識が戻らない時
- 1回の発熱でけいれんを2回以上起こした時
- けいれんが左右対称でない時(片方だけのけいれんのとき)
- 目が一方だけに片寄っている時
- けいれんの後にまひ(手や足、顔の一部などが動かせない)がある場合
- はじめてのけいれんが6カ月未満または6歳以上で起こった場合
- 家族にてんかんの方がいる場合
- 発達障害・神経障害がすでにある場合
- けいれんが起こる24時間以上前から高熱が続いていた場合
熱性けいれんの予防は?
熱がでたときに早めにけいれん予防の薬を使うことによってけいれんを防ぐ方法もあります。しかし、熱性けいれんを起こす人の7割は1回きりであり、残りの3割の多くも発作をくり返しても、脳に悪い影響を残すことなく、5~6歳頃までに起こさなくなるため、「熱性けいれんがあったら全員が発熱のたびにけいれん予防の薬が必要」というわけではないと、最近は言われています。当院では以下の症状があれば、予防の薬をお勧めする場合があります。
- 熱性けいれんを3回以上起こした場合
- 熱性けいれんが2回以下でも、上記Dの1)~9)のどれかがあったと確認された場合
けいれん予防の薬の使い方(この予防方法は通常2年間あるいは4~5歳まで続けます。)
けいれん予防の坐薬(ダイアップ坐薬)または粉薬(セルシン散)を、熱(37.5度以上)に気づいた時に、1回目として使用し、その8時間後またはその以後に熱があったら2回目を使用します。通常1週間以内は2回使用したら終了とします。予防薬使用後は、ふらつきや興奮、眠気などの副作用が一時的にみられる場合もありますが、特にふらつきや興奮がある間はひとりにしないで気をつけて下さい。
予防接種はいつからできる?
けいれんから3か月以上たてば、調子の良い時に予防接種は可能です。