感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)とは
原因はいろいろですが、大きく分けて、ウイルス性と細菌性に分かれます。ウイルス性胃腸炎は冬場に多いですが、春から初夏、夏から秋に流行するものもあります。細菌性胃腸炎は、カンピロバクター、サルモネラ、腸炎ビブリオなどの細菌が原因になり、特に夏場に、食中毒など引き起こします。
症状
嘔吐・下痢などの胃腸症状が主症状で、熱も伴うこともあります。
治療
下のような水分補給・食事療法のほかに、吐き気止め・整腸剤・下痢止め、場合によっては抗生剤を使うこともあります。
吐き気止めについて
吐き気が強く水分を少量とっても吐く場合に使います。吐き気止めの坐薬や内服薬を使用したら1時間半位で効果が出てきます。吐き気がおさまってから水分(OS-1・ アクアライト・ほうじ茶・白湯等)を少しずつとるようにしてください。副作用として頭痛、めまい、眠気、不安・興奮や、錐体外路症状(手が震える、体が固い、動きが遅い、よだれが出る、勝手に目が上を向く)などもあるため、続けて使う場合は6時間くらいは間隔をあけて、使いすぎないようにしましょう。
漢方薬が使われることもあります。
家庭での看護
水分(OS-1やアクアライト等がおすすめ)を最初の1時間は、体重1kgあたり10ccになるように、5分ごとに12回に分けて飲ませてください。
(たとえば、体重12kgの場合は、1時間に120ccを目標に1回量10ccずつを5分ごとに12回の飲ませることになります。)うまく飲めたら次の1時間(可能なら2時間)は、1回量を3倍に増やして、15分ごとに飲ませてください。(体重12kgなら1回量30ccずつを15分ごとに4回の飲ませることになります。)
最初の1時間の目標 | 1回量 | 間隔 | 回数 |
---|---|---|---|
体重(kg)×10cc | 12分の1 | 5分 | 12 |
体重6kgなら60cc | 5cc | 5分 | 12 |
体重12kgなら120cc | 10cc | 5分 | 12 |
体重24kgなら240cc | 20cc | 5分 | 12 |
体重36kgなら360cc | 30cc | 5分 | 12 |
途中で嘔吐した場合は、水分を与えるのを一定時間(吐き気止めを使ってみて、1時間半、吐き気止めがなければ、2~3時間)止めた後に再開しましょう。
15分ごとに嘔吐なく2時間飲めるなら休んでもよいし、欲しがるだけ飲んでも構いません。食欲が出てくれば、食事を再開しましょう。
次回受診のタイミング
至急受診(夜は夜間急病センターなど)
意識がはっきりしない(強くつねってもはっきりしない)(2)けいれん(3)持続する高熱・嘔吐・頭痛・頚部硬直(首を前屈できない)(4)血便とともに強い腹痛が続く
早めに受診(夜なら翌朝早めに受診)
水分を摂れず顔色が悪く、尿が半日以上でなくて、ぐったりしている場合(2)一日以上嘔吐を繰り返している(3)肌が乾燥して汗をかかない。顔色が青白い。唇や舌が乾いて、尿が少ない
様子を見て受診
下痢嘔吐に対する「治療」「食事療法」を続けて様子を見る(2)下痢・嘔吐はあるが、『至急受診』『早めに受診』の症状がない場合
薬がなくなったら受診
薬がなくなっても、下痢が続く場合
ロタウイルスに感染しておこる胃腸炎で、ほとんどの乳幼児が一度はかかります。冬から春にかけて流行します。
ロタウイルス胃腸炎の主な症状は嘔吐と下痢ですが、他のウイルスによる感染性胃腸炎(→感染性胃腸炎)に比べると、症状が急激に進行したり長引いたりして、入院が必要になることがあります。入院になる場合の3割が0歳児、4割が1歳児です。まれに、けいれんや脳炎・脳症・腎不全などの重い合併症を起こすこともあります。
以下の症状がある場合は、急いで医療機関を受診しましょう。
- 眼、ほほの陥没
- 指先の血のめぐりが悪い
- 嘔吐が1日以上続く
- 尿が半日以上出ない
- 1日以上ぐったりしている
- 口の中や舌の乾燥
- 泣いても涙が出ない
- 意識もうろう、けいれん、脳炎・脳症
- 腎不全(尿が出ない)、腎結石(強くお腹を痛がる)