ロタウイルス胃腸炎とは?
小児のウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)の中で一番重症になりやすいのがロタウイルス胃腸炎です。突然の激しい嘔吐に始まり、白っぽい水のような下痢が続き、発熱を伴うこともあります。多くのこどもが5才までに1回以上かかりますが、初回が重症化しやすいと言われています。日本では全国で毎年80万人がロタウイルス胃腸炎で病・医院を受診し、約8万人が嘔吐や下痢による脱水症やけいれんなどで入院します。また頻度は少ないですが、脳炎や一時的な腎障害を起こしたり、全国で年間10人くらいが死亡するといわれています。このウイルスは感染力が強いうえに、通常のアルコール消毒が効かないため、保育園や家庭内であっというまに広がります。予防対策として手洗いは重要ですが、効果には限界があります。有効な予防手段はロタウイルスワクチンであり、これを定期接種として導入した米国では入院が激減しました。
ロタウイルスワクチンについて
ロタリックス
生後6~24週の間に、4週間以上の間隔をあけて2回飲みます。
1回目は遅くても生後14週6日までです。
ロタテック
生後6~32週の間に、4週間以上の間隔をあけて3回飲みます。
1回目は遅くても生後14週6日までです。
ロタウイルスワクチンの副反応
- ロタウイルスワクチン接種後(特に6日以内)に腸重積症のリスクが増加するとの報告があります。
- 接種後(特に6日以内)は特に腸重積症の症状(後述)に注意が必要です。腸重積発症より24時間以内は高圧浣腸という治療で治ることが多いですが、24時間以上経過すると、手術を要する可能性が高くなります。
- ワクチン後の腸重積症は生後15週以降に接種を開始した人に多いので、必ず14週6日までに済ませましょう(生後6週から開始可能。
腸重積症の症状
(「エビデンスに基づいた小児腸重積症の診療ガイドライン」より引用改変)
- 20分前後の間隔で、突然に数分間の腹痛・不機嫌(青白い顔色で激しく泣く。くの字に、お腹を抱えこむこともある)を繰り返す。
- 嘔吐(最初は飲食したものを吐く。症状が進行すれば黄色い胃液を吐く)
- 血便(浣腸なしで血便があるのは10%、最初はイチゴジェリーのような粘液が便に少量付く程度、のちにイチゴジャムのような血便)
◎発症から10時間内に、「1」や「2」を3~4回繰り返す場合、「3」は1回でもある場合は至急受診が必要ですので、当院へご連絡ください。
どうしても連絡がつかない場合は、夜間急病センターや休日当番等を受診して下さい。